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2009.02.03 Blue Rainbow
小話です。
 『Blue Rainbow』

 青い花が道の隅に咲いてました
 その花の周りには少しの小石と、雑草が生えているだけでした
 彼らとお日様のことやお月様のことなど、他愛もないことを喋り、
 花はそれはもう毎日が楽しかったのです

 ある日、雑草が言いました

 「ぼくたちにはどうしてきみのような花が咲かないの?」

 花には答えられませんでした
 雑草だから、と答えてしまうと傷つけてしまうと思ったのです
 それからは会話をしても長くは続かない日が続き、
 とうとう花は彼らと話さないようになってしまいました

 「きみの花びら、青くてとても綺麗だよね」

 と言われることにも、誇らしげに振舞うことが出来なくなり、
 花は苦痛で仕方がありませんでした

 どうして何も気にせずあんなことを言ってしまっていたんだろう……

 花は思い悩み、花びらを閉じてしまいました
 周りの小石と雑草は何も言うことも、話しかけることもできませんでした


 時間は変わらず流れていきます
 せっかく雨が降っても花びらを閉じてしまっては、中まで水が届かず、
 花びらの根元と先端は少し黄色がかかり始めていました
 それを道行く人々に、汚い花だと罵られたり、子どもたちに唾をかけられたり、
 花は泣きました
 泣き続けました
 閉じた花びらの中は涙で半分つかり、花はしおれていくばかりでした


 ある日、一人のカメラマンが花の前に立ちました
 花はまた何かを言われるのかと、身構えました
 カメラマンは言いました

 「写真撮りたいんだけど、その花びら開けてくれないかな?」

 花は驚きました
 こんな汚い私を撮る価値なんてない、そう思いました
 何も答えない花に、カメラマンは何も言わず立ち去っていきました
 花は変わった人だと思いながら、また泣きました

 カメラマンは次の日もまたやってきました
 ですが、今度は何も言わずに花の前でカメラを構えているだけでした
 珈琲を飲んだり、煙草を吸ったり、まるで花が開くのを待っているかのようでした

 花は混乱しました
 花びらを開こうとも思いましたが、
 長い間閉じていたせいで、多少の力では開くことが出来ませんでした
 花はまた泣きました

 花の横でずっと構えているカメラマンの噂は少しずつ広がり、
 周りには人が集まるようになりました
 花は恥ずかしさでいっぱいでした
 そして、カメラマンは日が落ちると必ずこう言うのです

 「今日もお疲れ様」

 花はその言葉で心が満たされていきました
 彼のためにはやく写真を撮らせてあげたい、そう思うようになりました

 花は力を振り絞り、ある日ついに花びらを開きました
 溜まった涙も零れていき、地面と花びらの間には小さな虹がかかりました
 カメラマンはその瞬間を逃さず撮り、

 「ありがとう」

 と言いました

 花はまた泣きました
 今度は彼のために綺麗な青い花びらを見せようと思い、
 花びらを閉じることは二度としませんでした
 そしてまた小石と、雑草と会話を弾ませるようになりました
 花はいつも笑っていました
 青い花びらは以前よりそれは見事に咲き誇りました

 カメラマンは小石と雑草と楽しそうに喋っている花を、
 花の見えないところから撮りました

 2枚の写真は有名な写真の雑誌に載り、
 青い花は「ブルーレイン」と名付けられ、
 人々に生涯、愛されることとなりました




 「おしまい」

 「ねえねえお母さん、この花は今どうなってるの?」

 「ちょっと待ってね……はいこれね」

 「うわ~なんかいっぱいあるけど、これ全部そうなの?」

 「そうよ、全部ブルーレイン」

 「でも、青じゃないのもあるよ」

 「そうね、でも全部ブルーレインなのよ」

 「ふ~ん。ねえ、そのカメラマンって今どうしてるの?」

 「さあ? ふふふ」

 「お~い、そろそろご飯食べに行くぞ~」

 「ほら、お父さん待ってるから」

 「うん、お腹空いたよ~」
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